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柱島で何を訓練するのか

空撮・測量・点検・空輸——平時のビジネスで使っている技術は、災害現場ではそのままでは通用しません。何がどう変わり、柱島の3日間で何を身につけるのか。業務ごとに具体的にご説明します。

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01 / DIFFICULTY

災害時のドローン活動の難しさ

災害現場は、普段の業務現場の延長線上にはありません。同じ機体を飛ばしていても、求められる判断も、置かれる環境もまったく別のものになります。まず、その違いからご説明します。

能登半島地震の被災地
能登半島地震の被災地。地図にある道は、そこにあるとは限らない
崩落現場での危険予測
災害現場
崩落現場での危険予測。どこが崩れる可能性があるかを、飛ばしながら読む
液状化で浮上した下水管
災害現場
地中の下水管が浮き上がり、路面を突き上げている。地面は沈むとは限らない
能登での災害現場活動
災害現場
能登での活動。判断も、伝達も、生活も、すべて現場で成立させる
地上局の画面。衛星地図と機体からのライブ映像
災害現場
地図とライブ映像を並べて見る。撮って帰るのではなく、その場で読み取る
本部テントでモニターを確認する
災害現場
本部で映像を確認する。飛ばす人と、見て判断する人は別にいる
本部テントで状況を記録・共有する
災害現場
得た情報は本部で整理され、共有されて初めて動きにつながる
電源も通信もない 充電できない、電波が届かない。バッテリー残量がそのまま活動時間の上限になります。通信手段の確保から自分で行う必要があります。
地図が、現地と違う 道は崩れ、建物は倒れ、海岸線すら変わっています。事前に立てた飛行計画は現地で崩れる前提です。
空域が未確認 垂れ下がった電線、倒れかけた樹木、他機やヘリコプター。何があるか分からない空間へ入っていくことになります。
その場で判断が要る 撮って持ち帰り、後で解析する仕事ではありません。映像を見ながら、その場で状況を判断し、伝える必要があります。
伝える相手がいる 誰に、何を、どの粒度で伝えるか。撮影データではなく「状況」を伝える技術が問われます。無線での報告も含みます。
自分の生活は、自分で確保する 被災地の資源を使うわけにはいきません。寝る場所も食事も水も持ち込み、自分で成立させたうえで活動します。
協定を結んでいても、これらに一度も向き合っていなければ、要請が来たときに動けません。
柱島訓練は、その「動けるかどうか」を、実際の現場に近い条件で確かめ、鍛えるための3日間です。
02 / AERIAL

空撮 — 状況把握

きれいに撮る技術は、そのままでは災害現場で使えません。求められるのは「作品」ではなく、判断のもとになる「状況の記録」です。

沿岸エリアの空撮
平時のビジネス
沿岸エリアの空撮。構図と光を設計し、作品として仕上げる
火災現場の空撮による状況把握
災害現場
火災現場。延焼の方向と範囲を、その場で読み取り伝える
能登での状況把握(被災地の俯瞰)
災害現場
能登での俯瞰。全体像をつかみ、次に入る場所を決める

平時のビジネス

  • ジンバル操作・一定飛行
  • カメラ設定・露出
  • カラー/ファイル形式の管理
  • 企画から編集・納品まで

災害現場では

  • 作品ではなく、災害記録として撮る
  • 同じルートを再現して飛ぶ(経時比較のため)
  • 災害時に適したカメラ設定
  • 被災状況に応じた飛行方法の選択
  • 持ち込む機材を絞る(軽量化)

柱島で訓練すること

  • ミッション1:空撮・調査
  • ミッション5:災害調査
  • 柱島PV(15秒)を企画から納品まで
  • 同一ルートの再現飛行と記録の整理
03 / SURVEY

測量 — 3D化

平時の測量が求めるのは精度です。災害現場が求めるのは速度と範囲。同じ機材でも、優先するものが入れ替わります。立体で見えると、報告の説得力が変わります。

点群・地形データ
平時のビジネス
点群・地形データ。標定点を置き、精度を管理して成果物にする
沿岸集落の3Dモデル
災害現場
沿岸集落を丸ごと3D化。地形と構造物の被害を立体で把握する
被災した海岸道路での基準点設置
災害現場
崩れた道路脇に基準点を立てる。足場と安全を確保しながらの作業になる

平時のビジネス

  • 自動飛行・撮影計画
  • 標定点(GCP)の設置
  • 点群処理・グラウンド抽出
  • TIN/DEM の作成・精度管理

災害現場では

  • 精度よりも、広範囲を迅速に
  • 素早いデータ変換(待たせない)
  • 時間をおいて撮り、経過変化を捉える
  • 地形・構造物の被害を立体で把握する

柱島で訓練すること

  • ミッション2:測量・点検
  • ミッション6:災害測量
  • 山林部で「使えるデータ」を出す
  • 取得から成果物までを通しで実施
04 / INSPECTION

点検 — 捜索

赤外線カメラで人を探す作業は、設備点検で同じカメラを使うときとは、見え方も判断の仕方もまったく違います。ここは経験がないと踏み込めない領域です。

太陽光パネルの赤外線点検
平時のビジネス
太陽光パネルの赤外線点検。異常のある一枚を温度差で見つける
赤外線(サーマル)画像
災害現場
同じ赤外線でも、地形の中から人を探す見え方はまったく別物
能登での赤外線(サーマル)捜索
災害現場
能登での捜索。映像を見ながら、その場で判断する

平時のビジネス

  • 近接撮影・望遠撮影
  • 赤外線(サーマル)による異常検出
  • 立面の自動飛行
  • 点検レポートの作成

災害現場では

  • 赤外線を人命捜索へ応用する
  • 映像を見ながらのリアルタイム判断
  • 被害状況の記録と報告
  • 崩落現場での危険予測

柱島で訓練すること

  • ミッション2:測量・点検
  • ミッション5:災害調査
  • 対象別の撮影計画と飛行ルート設定
  • 赤外線運用(夜間も含む)
05 / LOGISTICS

空輸 — 物資輸送

整備された発着場から飛ばす物流と、崩れた地面に降ろす災害空輸。難しさの質が違います。柱島では、機材と物資の搬入・搬出そのものを実運用で行います。

物輸ドローンによる空輸オペレーション
平時のビジネス
物輸ドローンによる空輸。ルートを設計し、複数名で安全に運用する
被災地での離着陸地点と地上員
災害現場
被災地の離着陸地点。限られた平地に、地上員と連携して降ろす
山林でのスリング(吊り下げ)飛行
災害現場
崩落した山林へ吊り下げで運ぶ。降ろす場所は選べない

平時のビジネス

  • 積載飛行・スリング飛行
  • 玉掛け/電動ウィンチの操作
  • 3Dルート設計
  • レベル3.5飛行(補助者なし目視外)
  • 2名体制でのLA/LZ管理・物流手信号

災害現場では

  • 未確認空域・未確認ルートを飛ぶ
  • 目視外での運搬
  • 不整地への離着陸
  • 地上員とのマーシャリング連携

柱島で訓練すること

  • ミッション3:空輸
  • ミッション7:災害空輸
  • FlyCart30 で初日・最終日の搬入搬出を実運用
  • 玉掛け・電動ウィンチ特別講習
06 / NIGHT FLIGHT

災害は時間を選ばない

日が落ちれば、機体の姿勢は見えなくなり、周囲の障害物も分からなくなります。それでも動かなければならない場面があります。夜間飛行は、対応できる時間帯を広げる技術であり、平時の受注の幅も広げます。

日没前後の飛行
日没前後
明るさが刻々と変わり、見え方が急速に落ちていく時間帯
日没時の操縦
日没前後
逆光と薄暮。機体の向きを目視で保つのが難しくなる
薄暮の拠点設営
日没前後
暗くなる前に電源と機材を立ち上げておく。段取りが夜の可否を決める
夜間訓練の本部設営と離着陸地点
夜間
投光器で離着陸地点を照らし、本部テントを立てて臨む夜間訓練
夜間の照明下での対象確認
夜間
照らせる範囲しか見えない。光の当て方そのものが技術になる
夜間の拠点運用
夜間
完全に日が落ちた後の拠点。照明と灯火だけを頼りに運用する

平時のビジネス

  • 夜間の空撮・イベント撮影
  • 灯火の装備と要件
  • 夜間飛行の許可・承認手続き
  • 対応できる時間帯が広がり、受注の幅が増える

災害現場では

  • 発災の時刻は選べない
  • 機体の視認性・姿勢把握が落ちる
  • 離着陸地点の照明が要る
  • 赤外線との併用が前提になる

柱島で訓練すること

  • ミッション4:夜間訓練(初日夕方〜夜間)
  • 日没前後の環境変化を体感する
  • 夜間の赤外線運用
  • 暗所でのチーム内の声掛けと安全確認
07 / FIELD SKILLS

飛行以外の力と3日間の生活環境

災害現場で活動できるかどうかは、操縦技術だけでは決まりません。危険を判断し、状況を伝え、自分の生活を自分で成立させる——これらも訓練の対象です。柱島で野営する理由はここにあります。

ソーラーパネルとポータブル電源による現地の電源確保
拠点をつくる
ソーラーパネルとポータブル電源で電源をつくる。充電できなければ、飛べる回数がそのまま活動の上限になる
テント内に設営した本部で飛行計画を確認する
拠点をつくる
テントを張り、モニターとPCを持ち込んで本部にする。飛行計画も解析もここで回す
災害時を想定した非常食
拠点をつくる
食事は災害時を想定した非常食。柱島でも3日間これで通す

飛行以外に身につけること

  • 危険地・危険物の判断
  • 状況伝達(無線・報告)
  • 衛生管理
  • サバイバル技術
  • コスト管理・安全管理

2泊3日の流れ

  • DAY1:上陸・野営設営・基礎ミッション
  • DAY2:3チームがローテーションで全業務を実習/夜間・赤外線
  • DAY3:総合演習・撤収・修了式
  • 会期中、緊急ミッションが予告なく発動します

生活環境(主催者が用意)

  • 各チームにテント1張(テント泊)
  • 電源はソーラーパネルとポータブル電源で自前確保
  • 通信も現地で自前で立ち上げ
  • トイレ・シャワーは野営用
  • 食事は合計7食・災害時を想定した非常食
  • 水は2日目・3日目に1L/人を支給
なぜ野営なのか。災害現場では、被災地の資源を使うわけにはいきません。宿も食事も水も、自分で持ち込んで成立させたうえで活動することになります。不便を体験するためではなく、その状態で判断し、飛ばせるようになるための訓練です。
アレルギー・健康について:本訓練は災害現場を想定した野営型プログラムです。集団での共同生活となり、食物・身体面でアレルギーや配慮が必要な方は、安全確保のためお申込み前に必ずご相談ください。内容によってはご参加いただけない場合があります。
STANDARDS

この3日間を支えるもの

ここまでご説明した内容は、実際に災害現場で活動してきた人間が、実機を使って、少人数に対して行うから成立します。訓練の中身と同じくらい、誰が・何を使って・どういう規模で教えるかが結果を分けます。

教えるのは、現場を踏んだ実務者

  • 能登半島地震で20ヶ月にわたり活動
  • 元自衛隊・海上保安庁・警察のパイロット陣
  • 災害対応の訓練プログラムを自ら開発し、2025年に能登で3回実施
  • 代表理事・森本宏治が3日間を通して直接指導

実機で、全業務に触れる

  • 空撮機/測量機/点検機/空輸機を主催者が用意
  • 赤外線(サーマル)カメラによる点検・捜索
  • FlyCart30 による搬入・搬出の実運用
  • 玉掛け・電動ウィンチ特別講習を含む

定員9名。全員が、全部やる

  • 3名×3チーム。3チームがローテーション
  • 見学する時間がなく、全員が全業務を実習する
  • 少人数のため、いつでも直接質問・相談ができる
  • 現地は実技に集中。基礎は事前学習で固める
08 / FLOW

お申込みから講習実施まで

お申し込みいただいてから当日を迎えるまでの流れです。現地では実務と災害対応に集中いただけるよう、基礎は事前学習で固めていただきます。

STEP 1随時

お問い合わせ・個別説明

お問い合わせフォームからご連絡ください。合同説明会ではなく、個別にご説明します。ご不明な点、参加体制のご相談もこの段階でお受けします。

STEP 28.31 まで

お申込み

お申込み締切は2026年8月31日(月)。定員は9名(3名×3チーム)です。個人でのお申し込みも可能で、チーム編成は主催者が行います。

レベル3.5飛行を実施される方は、8月15日(土)までにお申し込みください。別途、飛行の申請手続きが必要なためです。

STEP 3開催前

事前学習(オンライン)

オンライン動画と、テキスト(防災・減災カリキュラム)。空撮/測量/点検/空輸/防災減災/玉掛け・電動ウィンチを、現地に来る前に学んでいただきます。3日間を実技に使い切るためです。

STEP 4開催前

事前のご案内

参加者へ個別にご案内します。持ち物、集合場所と時間、当日の注意事項など。レベル3.5飛行をご希望の方には、申請手続きを個別にご案内します(8月15日までのお申込みが必要です)。

STEP 59.15 - 9.17

柱島訓練 本番

山口県岩国市・柱島にて2泊3日。機材(空撮機/測量機/点検機/空輸機)は主催者が用意します。ご自身で持ち運べる小型機の持参は任意で可能です。

持ち物(各自):寝袋・マット・枕(必携)/マイボトル(1日2.5〜3L目安)・補給食/常用薬・お薬手帳・個人の救急用品/タオル・着替え・雨具・作業靴・帽子・日焼け止め。船に車を積めないため、お荷物は手荷物のみとなります。
Contact

まずは個別にご説明します

ご不明な点、参加体制のご相談など、お気軽にお問い合わせください。担当より個別にご案内いたします。